ワクチン事業の取り組み
私たちは新型コロナウィルス感染症を経験し、地域に育まれる社会的な役割を再認識することができました。特に院内クラスターにより救急対応ができない状況を経験、危機的な状況からの回復も経験しました。回復のプロセスを通じ、地域のパートナーシップを今までよりも真剣に考えました。私たちは「誰ひとり取り残さない」社会の実現を目指し、持続可能な社会の積極的参加して行きます。
私たちは希望する地域の全ての人にワクチンを提供したい思いがあります。2021年4月26日よりワクチン接種を開始、予約方法や予約枠の工夫、臨時のプレハブで待機場を設置し効率的な運営方法などの工夫を凝らしました。
町内会の方々に案内を差し上げたり、また自由に移動できない施設入所の方々や職域接種会場へ出向きました。結果、2021年11月15日時点で総接種数は18,073回となりました。
これまでのワクチン事業について、日頃よりワクチン事業に携わる神田さん(医師事務作業補助者)と平澤さん(診療放射線技師)の2人に抱負を交えて振り返ってもらいます。
質問1. 柏葉会におけるワクチン事業の意義とは何でしょうか?
「地域貢献ができた」「チーム力を発揮することができた」
平澤)『with out コロナ』という状況の中、ワクチン事業の準備は2020年11月頃からスタートしました。我々は社会医療法人として、実現可能な地域貢献の手段を模索していました。手探りの状態で戸惑うこともありましたが、地域貢献ができたのではないかと感じています。
神田)当初は今よりも遥かに情報が少ない中でしたが、症状の重症化を防ぐ一筋の光がワクチン接種でした。今日までスピード感を持って取り組んで来られたのは、チーム力を発揮することができたためと感じています。
質問2. これまで大変であったこと、また嬉しかったことは何でしょうか?

「チームワークを実感できたことが嬉しかったですね。」と笑顔をみせる神田さん
「職員一人ひとりの意識が変わって行く過程を実感」
神田)ワクチン事業に係わるスタッフが選抜されましたが、多くが通常業務との兼務でした。正直、業務の負担はあったと思います。しかしながらチーム内でミーティングを繰り返し、対応策を考える中で柏葉会のチームワークの良さを実感できたことは、嬉しかったです。
またコロナの影響で親睦会や歓迎会を行うことも出来ない日々が続いています。各部署からの応援は、普段ではコミュニケーションの機会が少ない職員においても、お互いのことを深く知り合うきっかけになりました。同じ志を持って取り組むことで、職員一人ひとりの意識が変わって行く過程を実感しました。
何より高齢者の方やハンディキャップを抱えた地域の方々に、ワクチン接種が出来たことは嬉しかったです。当院の受診歴がない方、かかりつけ医でない方にも、いち早く接種対象とすることが出来たことも職員として誇りに思っています。

「正直、常に苦労の連続でした!」と当時を振りかえり、目を細くする平澤さん
平澤)正直、常に苦労の連続でした。振り返ると大変なことばかりだったなと。誰も経験したことのない事業だったので。地域の皆さんの希望と、現実のミスマッチがありジレンマを感じることもありました。例えば、皆さんが望む接種のルールと、実際に接種するためのルールの違い、更に十分なワクチン量が供給されず、ご迷惑をおかけしたこともありました。
質問3. 今後の抱負、地域の皆さんへ伝えたいこと

地域貢献や地域の方々との接点が増えることを願う抱負は尽きない二人でした
誰ひとり取り残さず地域に根差した活動を実践していきたい
平澤)ワクチンのブースター接種が控えています。法人として出来る限り対応していきたいと考えています。
神田)これまでは脳神経外科に特化した病院ですので、地域の方々も身構えてしまう方も少なからずいらっしゃったと思います。今回のワクチン事業を通じて、柏葉脳神経外科に初めて来院された方も沢山いらっしゃいます。また医療圏の異なる地域から来院された方もいらっしゃいました。
今後もワクチン事業に限らず、地域の方々との接点が今後も増える活動を通じて、誰ひとり取り残さず地域に根差した活動を実践していきたいと思っています。
私たちはワクチン事業を通じて地域貢献を行う中で、自分たち職員一人ひとりの意識が変わっていく過程を実感しました。これらのエンパワメントは、様々なリスクマネジメントに対しても対応できるものと考えています。私たちは「誰ひとり取り残さない」社会の実現を目指し続けます。