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第2回:脳動脈瘤(その2)

脳動脈瘤の血管内(カテーテル)手術について

血管内手術は大腿動脈などからカテーテルと呼ばれる直径0.5~3ミリ、長さ90~150cmほどの細長い管を挿入し、血管撮影装置で得られる画像のもと脳の血管系に導き、プラチナコイルと呼ばれる非常に柔軟で微細な金属線を脳動脈瘤内に挿入・充填する「動脈瘤コイル塞栓術」が基本的な方法です。脳動脈瘤内部が閉塞し、血流が遮断されることで脳動脈瘤の破裂を予防することができます。傷はカテーテル挿入部の数ミリ程度であり、頭皮を大きく切開したり頭蓋骨に穴を開けたりせずに治療するため一般的に低侵襲で術後の回復が早いことが長所と言われています。
脳動脈瘤の特性によっては単純なコイル塞栓術では対応できない場合もありますが、バルーンカテーテルやネックブリッジステントといった支援デバイスを駆使することにより治療可能となるケースも格段に増えました。日進月歩で新しいデバイスが登場している分野であり、近年ではフローダイバーター(FD)治療と呼ばれ、動脈瘤直下の血管に緻密なメッシュ構造のステントを展開することで血液の流れを変化させ瘤内の血栓化を促す治療法も開発され、従来のクリッピング手術やコイル塞栓術が難しかった巨大な動脈瘤などに対しても治療が可能となってきています。
未破裂動脈瘤に対して本治療が可能かどうかについては、予めカテーテル検査を行って詳しく検討することをお勧めしています。


動脈瘤は造影剤により黒く描出されている


瘤内にプラチナコイルを充填したところ


治療後、瘤内が塞栓され造影されなくなった


入院の流れ


周術期の過度な血栓化による合併症を予防するために、手術2週間程前から抗血小板薬を服用して手術に臨みます。入院は手術の前日で、当日は全身麻酔下での手術となります。術後は一晩ベッド上で安静にしてもらうことが必要ですが、翌朝から食事・歩行も可能となります。レントゲンやMRIなどの術後検査を行って問題がなければ術後1週間程度で退院となります。退院後も1~数か月間、抗血小板薬の服用を続けていただく必要があります。その後も外来にて半年~1年毎にレントゲンやMRIなどの定期的な画像検査でフォローアップを受けて頂き、必要に応じてカテーテル検査などの検査入院を行います。

よくいただく質問

治療中にコイルやガイドワイヤーが瘤を突き破る可能性はありますか?
動脈瘤は壁が非常に薄くなっている部分があり、カテーテル誘導時やコイル挿入時に穴が開いて出血する可能性はあります。稀ながら重大な合併症を生じる危険性はゼロとはいえません。手術の際は万一の破裂に備え、出血部をいつでもバルーンで遮断するような準備を行うなど万全を期して臨んでいます。また破裂時もコイル塞栓術を継続することで大抵の場合は止血することができます。
血管内手術の合併症はどんなものがありますか?
上記のような出血性合併症をイメージされやすいですが、むしろ頻度が高く注意を要するのは正常血管が詰まってしまうような虚血性合併症です。そもそもプラチナコイルは動脈瘤内を血栓化して破裂を防止するものであり、血液が付着すると血栓を形成しやすい異物です。過剰に形成された血栓が周囲の正常血管に影響を及ぼさないよう手術前から抗血小板薬を服用して頂き、手術中も点滴から抗凝固薬を投与しています。そのほかにも造影剤の影響、金属アレルギー、穿刺部の皮下血腫などが考えられます。
治療後、MRI検査は受けられなくなりますか?
コイルやステントなどに使用される金属はプラチナ、チタン、タングステンなどであり、強磁性体ではありませんのでMRI検査を受けても身体への影響はありません。