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第2回:くも膜下出血という怖い病気

くも膜下出血という病名を一度も耳にしたことがない方は、おそらくいないでしょう。ニュースや医療特集番組などでも、ときどき耳にしたことがあるのではないでしょうか。
くも膜下出血とは、脳の表面を取り囲んでいるくも膜の下のスペース(くも膜下腔)に血液が流れ込む病態です。外傷をきっかけに同部位に出血が生じることがあり、これは外傷性くも膜下出血と言いますが、ここでは内因性に動脈瘤が破裂して生じる一般的なくも膜下出血についてお話ししていこうと思います。

動脈瘤

動脈瘤は、珍しい病気ではありません。トータルして考えると、成人の100人中5人が動脈瘤を保有していると言われています。その全てが必ず破裂するというわけではなく、破裂する確率は小さいものから大きいものまで含めて、年間約1%前後と報告されております。大きい動脈瘤のほうが破裂しやすいとされていますが、小さいからといって破けないというものでもありません。
動脈瘤は、年齢・性別・高血圧の既往・動脈瘤の大きさ・存在部位・形態(ブレブの存在)などによっても破裂率が変わります。また破裂を引き起こす3大要因は、喫煙・高血圧・過度の飲酒と言われております。

症状

脳動脈瘤の存在自体は無症状のことが多く、脳ドックや頭部打撲などの受診の際に偶然に発見されることがほとんどです。まれに動脈瘤が脳神経を圧迫して、物が二重に見える・瞼が開かない(動眼神経麻痺)や、視野障害(視神経障害)などで発見されることもあります。
不幸にも破裂してしまうと、『くも膜下出血』になることが多いです。脳動脈瘤破裂に伴うくも膜下出血は死亡率が高く、約半数以下の方は即死あるいは昏睡状態に陥り、どうにか病院に搬送され適切な治療を受けたとしても、病前の状態で社会復帰がかなうのは、約25%に過ぎない恐ろしい病気です。

治療法

治療法は、開頭によるクリッピング術(手術用顕微鏡を用いて、動脈瘤の頸部にチタン製のクリップをかけます)、血管内治療によるコイリング術(多くは足の付け根の血管を穿刺し、ここからカテーテルを頭蓋内にまで誘導し、動脈瘤の中に金属製のコイルを充填します)、または複雑な動脈瘤の場合には複雑で特殊な治療を行うなどの選択肢があります。何がベストな治療法であるか、症例に応じて十分な検討が必要になります。